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 商標のアサインバックとは

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米国、カナダ、オーストラリア等の諸外国では、「コンセント制度」が導入されています。

 

「コンセント制度」とは、ある商標登録出願と類似する商標(以下、「引用商標」といいます。)があった場合に、当該引用商標の商標権者からの同意があれば、登録が認められる制度をいいます。

 

 

日本では、審査が長期化する、という理由により、「コンセント制度」は採用しておりません。

 

具体的に言いますと、たとえば、Aさんが商標「キャット」を出願し、特許庁よりBさんの先登録商標「スーパーキャット」と類似する旨の拒絶理由通知を受けたときに、Bさんから『Aさんは「キャット」を使ってもいいよ』、という同意を得たとしても、Aさんの拒絶理由は解消されないのです。
(なお、商標「キャット」と「スーパーキャット」、各商標の指定商品または指定役務は、それぞれ類似するものとしています。)

 

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フリー写真素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com

 

このような日本の商標制度のもとで、AさんがBさんの同意を得ている場合に、登録を目指す一つの方法が「アサインバック」です。

 

「アサインバック」とは、Aさんが出願した商標「キャット」を、いったんBさんに譲渡し、登録となった後に、その権利を再度Aさんに譲渡する、というやり方です。

 

しかし、この「アサインバック」には、手続きが煩雑になる、費用が割高になる、外国にあまり例のない制度で国際調和に欠ける、そもそも商標法第3条第1項柱書に規定する「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に該当せず、拒絶・無効理由に該当する可能性がある、などの問題があります。

 

 

このような問題を解決するため、日本においても、将来、コンセント制度が導入される可能性があると思います。

審査もより柔軟なものとなり、登録される商標の幅も広がることでしょう。

ただし、客観的に、出所の混同が生じないように手当する必要はあると思います。