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 地域団体商標とは何ですか?

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地域団体商標とは

地域団体商標制度とは、地域ブランドの保護による我が国の産業競争力の強化と地域経済の活性化を目的として、「地域ブランド」として用いられることの多い、地域の名称 と 商品(役務)の名称等からなる文字商標 のことをいいます。

そもそも、地域の名称 と 商品の名称等からなる商標は、地域の名称部分が商品の産地や役務の提供地と看守され、商品の名称はその商品の普通名称であることから、商標全体として、何人かの業務に係る商標であるかを認識することのできない、いわゆる識別力のない、登録できない商標であることが多いのです。

しかし、地域団体商標の場合は、上記目的に鑑み、通常の商標登録出願よりも、登録要件を緩和し、このような構成からなる文字商標を登録することとしました。

 

 

地域団体商標の例

では、地域団体商標には、どのようなものがあるのでしょうか。

例えば、私の出身地、栃木県の地域団体商標としては、次のようなものが登録されています。

商   標: 鬼怒川温泉(登録第5315242号)
権 利 者 : 鬼怒川・川治温泉旅館協同組合
指定役務:  
第43類
 「栃木県日光市鬼怒川地区における温泉入浴施設を有する宿泊施設の提供」
第44類
 「栃木県日光市鬼怒川地区における温泉入浴施設の提供」

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商   標: 益子焼(登録第5595844号)
権 利 者 : 益子焼協同組合
指定商品:  
第21類
 「栃木県芳賀郡益子町に由来する伝統的な技術・技法により栃木県芳賀郡益子町及びその周辺地域で生産された陶磁器製の急須・コップ・杯・ぐい呑・皿・サラダボール・茶わん・徳利・鉢・ビール用のカップ・水差し・湯飲み・飯椀・コーヒーカップ・マグカップ・つぼ・釜飯用の釜と蓋・花瓶・絵皿・飾り壷」

 

商   標: 中山かぼちゃ(登録第5555021号)
権 利 者 : 那須南農業協同組合
指定商品:  
第31類
 「那須烏山市中山地区で生産されたかぼちゃ」

 

いずれも、地域の名称と、その商品名や慣用名称とが結合されている商標であることがご理解いただけると思います。

先ほど、地域団体商標は、登録要件が緩和されていると述べましたが、需要者の間に広く認識されている、という周知性の要件は課されます。

すなわち、地域団体商標として登録されている商品やサービスは、その地域に根差した商品やサービスであって、多くの人々に親しまれているものといえます。

 

 

これからの地域団体商標の活用

以上で説明しました通り、地域団体商標は、地域の特産物や、その地域ならではのサービスを、ブランドとして保護するものです。

最近は、インバウンド需要も高まり、訪日外国人客も過去最高となりました。

これは、すなわち、日本を訪れる外国人が、日本の地域の特産物や地域独特のサービスに触れ、その良さを知る機会も増えているということです。

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最近、日本の地域ブランドが外国で勝手に商標登録されてしまうという事態が増えているのも、グローバル時代となり、外国人が、日本の地域ブランドの品質の高さや、そのブランド自体が有する強力な顧客吸引力を理解するようになってきているからでしょう。

日本の地域ブランドは、外国から見れば、日本という「国」の有するブランドです。

これから、日本の事業協同組合等の団体が、世界で戦っていくためには、このようなブランドに蓄積する世界からの業務上の信用を、地域団体商標により保護し、育てていかなければならないと思います。

地域団体商標が、地域経済の活性化だけでなく、日本の産業競争力強化を目的としている理由はここにあります。

従来、地域団体商標を出願できる団体は、事業協同組合等の特別の法律により設立された組合及びそれに相当する外国の法人に限られていましたが、平成26年8月1日より、登録主体が拡充され、商工会、商工会議所、NPO法人(特定非営利活動法人)並びにこれらに相当する外国の法人も、地域団体商標を出願することができるようになりました。

権利主体となれる団体も増え、今後、ますます地域団体商標の活用が期待されます。