飲食店の新しいマーケティング戦略?!
本日は、飲食店を経営の皆さまに、知財の面からの、新しいマーケティング戦略をご紹介します。
現在の主なマーケティング戦略
現在、飲食店業界では、お客様へどのようなマーケティング戦略がとられているのでしょうか。
まず、多くのお店がやっているものの1つに、スタンプカードの発行があります。
これは、一定数のスタンプをためると、割引されたりするもので、次回の来店の動機付けとなり、固定客を増やすアプローチです。
また、最近では、SNSの活用があげられます。
普段、お店では見られないスタッフの厨房での働きぶりをFacebookで紹介したり、LINEでお店の公式アカウントを開設し、友だちになってくれたお客様に、クーポンやお知らせを配信するなどという方法です。
このようなお知らせは配信の時間を設定できるので、ランチタイムや退社時間などをねらって配信するのが効果的です。
YouTubeなどの動画サイトで、ジュージューと音を立てる、おいしそうに焼きあがったハンバーグなどの看板メニューを紹介する、というのも、メニューの魅力が伝わる一つの手法でしょう。
フリー写真素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com)
他にも、見開きメニューで迷ったお客様が最終的に目が行く右ページ下部に、セットメニューを表示することで注文をそこへ誘導し、提供時間を短くするなどの工夫や、年齢・性別ごとの顧客管理なども行われています。
知的財産面からのマーケティング戦略
このように、飲食業界では、様々なマーケティング戦略がとられていますが、本日は、知的財産面からのアプローチをご紹介したいと思います。
それは、食品の意匠登録・商標登録です。
食品の意匠登録
意匠とは、簡単に言うと、物品に係るデザインのことです。
そして、当該物品には食品も含まれます。
例えば、アイスクリームの登録意匠。
(登録第1524332号、権利者:林一二株式会社)
肉まんの登録意匠。
(登録第1446320号、権利者:岸 久代)
クッキーの登録意匠。
(登録第1498902号、権利者:レオン自動機株式会社)
スイカの登録意匠。
(登録第1304011号、権利者:松尾憲一郎)
こうして見ると、様々な食品について、意匠登録されていることが分かります。
ちなみに、意匠の表し方が写真だったり、図面だったりするのは、意匠の表し方として、図面、写真、ひな形、見本、と多様な方法が認められているからです。
意匠権の存続期間は、設定登録日から20年です。
意匠登録をすると、意匠権の権利者は、当該登録した意匠と同一または類似する意匠を実施している者に対し、差止め請求などをすることができます。
また、意匠権は、譲渡性のある財産権でもありますので、ライセンス契約や譲渡などにより、金銭を得ることができる可能性もあります。
さらに、意匠登録されると、けっこう立派な登録証が届くのです。
額縁などに入れて、これをお店に飾っておくと、お客様も注目されるのではないでしょうか。
意匠登録証の例 (特許庁ホームページより引用)
このように、飲食店において、新しく、今までのデザインからは創作するのが難しいような、斬新なデザインのメニューを創作できたときは、そのメニューを排他独占的に実施することができる意匠権取得のチャンスです。
食品の商標登録
一方、商標は、その商品やサービスが、誰の業務に係るものかを判別するための”目印”です。
したがって、商品やその商品の包装などに付されることが多く、その目印となる商標は、文字のみからなる文字商標(例:コカコーラ)や、ロゴマークなどの図形商標(例:スターバックスのロゴ)など、二次元の文字や図形となるのが一般的です。
しかし、食品そのものが、商標としての機能を有している場合には、その食品自体が立体商標(立体的な形状を有している商標)として、商標登録されます。
例えば、 ケーキの登録商標。
(登録第5663067号、権利者:ジェイアール東海フードサービス株式会社)
煎餅の登録商標。
(登録第4175405号、権利者:株式会社神戸風月堂)
そして、最後に、お肉の商標登録。
(登録第5108436号、権利者:株式会社フルスティームアヘッド)
こちらは実際に、お店のWebサイトでも、商標登録されていることをアピールされており、知的財産を営業ツールとして活用されている素晴らしい例の一つです(http://fsa2001.com/?page_id=55)。
今度、ぜひこのお肉を食べたいと思っています。
このように、立体商標として、商標登録されている食品もたくさんあります。
商標権の存続期間は、設定登録日から10年ですが、更新をすることができるので、半永久的に存続させることができます。
商標権の権利者が、差止め請求や、ライセンス契約・譲渡などができるのは、意匠権と同様です。
もちろん、商標登録された場合も登録証は届きます。
これもなかなか立派なので、お店に箔がつくのではないでしょうか。
商標登録証の例 (特許庁ホームページより引用)
意匠権や商標権は目に見えない無形資産ですが、これらの権利を取得したお店では、他のどの店舗にも真似することのできない、唯一無二の看板メニューを提供することができます。
弊所では、このように、飲食業界の皆さまを知的財産の面からお手伝いさせていただきます。
どうぞ、お気軽にご相談ください。