色彩商標の初登録

色彩のみからなる商標について初の登録を行います
(2017.03.01 経済産業省Webサイト)

 

今般、色彩の実からなる商標が、初めて登録されることとなりました。

 

以下、2商標です。

(経済産業省資料より抜粋)

 

 

新しいタイプの商標としては、色彩のみからなる商標、動き商標、ホログラム商標、音商標、位置商標がありますが、色彩のみからなる商標だけは、今まで登録例はありませんでした。

 

ここまで審査が長引いたのは、色彩という広い範囲に、独占排他的権利である商標権を付与するため、慎重に審査がなされたものと思われます。

 

したがって、色彩を独占的に使用できる範囲も必然的に限定的となり、例えばトンボ鉛筆の青白黒の色彩は、指定商品となっている「消しゴム」及びそれに類似する商品のみに商標権の効力が及びます。

 

なお、記事中には「10年間の独占権が認められる。」とありますが、商標権は使用に伴い保護価値が高まりますので、特許権や意匠権などと異なり、存続期間を更新することができ、半永久的な権利といえます。

 

【新しいタイプの商標】まとめ

初めての審査結果の公表

 

弊所ブログでは、これまで、各新しいタイプの商標について、紹介させていただきました。

 

  1.  色彩のみからなる商標
  2.  動き商標
  3.  ホログラム商標
  4.  音商標
  5.  位置商標

 

そして先日(2015年10月27日)、新しいタイプの商標の初めての審査結果が公表されました。

これを受けまして、新しいタイプの商標について、まとめてみたいと思います。

 

結果は、以下の通りです。

 

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(特許庁Webサイトより引用)

 

 

 

「色彩のみからなる商標」の登録のハードルの高さ

 

結果を見ますと、新しいタイプの商標のうち、4月1日の出願件数が一番多いのは、「色彩のみからなる商標」(192件)であり、「色彩のみからなる商標」への関心が高さが窺えますが、今般、登録査定となったものは、1件もありませんでした。

 

前記記事「【新しいタイプの商標】色彩のみからなる商標」の中でもご説明したとおり、色彩のみからなる商標は、通常使用されていなくても、使用され得る色であったり、模様や背景色として使用され得る色も登録することはできず、その登録のハードルは、非常に高いものです。

 

また、本記事掲載日(2015年11月5日)現在、本年4月1日に出願された「色彩のみからなる商標」の経過情報を数件見てみましたが、私が見た中では、出願後の経過情報は特に確認できませんでした。

 

したがって、「色彩のみからなる商標」については、慎重に審査がされているか、若しくは、経過情報には未だ反映されていないものの、既に拒絶理由通知書が出されていて、出願人に識別力を有することの証明を求めている可能性が高いものと推察されます。

 

「色彩のみからなる商標」の登録査定 第1号が待ち遠しいですね。

 

 

 

「動き商標」の登録率は高い

 

一方で、「動き商標」は、4月1日に出願されたものが32件、今般、登録査定となったものが16件で、高い登録率となっているようです。

 

実際に出願された動き商標を見てみると、既に図形商標として登録されている企業のロゴやキャラクターが動くようなものが多いことがわかります。

 

このような既に登録されている商標が動くものは、識別力も認められる可能性も高く、このような高い登録率になったものと思われます。

 

 

 

目立つ「ホログラム商標」の出願件数の少なさ

 

「ホログラム商標」の出願件数は、4月1日時点で、わずか3件と、他のタイプの商標に比べて、非常に少なくなっています。

 

実際の出願を見てみますと、クレジットカードサービスに用いられるホログラム商標が多いようです。

 

ホログラム自体があまり商品やサービスに使用されていないことから、出願件数も少ないものと思われます。

 

 

 

新しいタイプの商標は今後も増える?!

 

商標の最も重要な役割は、自他商品・役務を区別できる「識別力」であり、これが認められれば、「香りの商標」や「触感の商標」など、今後も新しいタイプの商標が出てくるかもしれませんね。

 

なお、弊所では、上記新しいタイプの商標、 「色彩のみからなる商標」、「動き商標」、「ホログラム商標」、「音商標」、「位置商標」の出願も承っております。

 

ぜひ、お気軽にご相談ください。

 

【新しいタイプの商標】 位置商標

特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、これまで商標として登録できなかった新しいタイプの商標が、登録できるようになりました。

新しいタイプの商標は、色彩のみからなる商標、動き商標、ホログラム商標、音商標、位置商標の5つです。

本日は、その中から「位置商標」について、ご説明いたします。

 

 

位置商標とは

 

位置商標とは、文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標をいいます。

 

EUでの登録例として、靴底のかかと部分に、ピンク色の縞がひかれたものがあります。

登録番号:2319937

区分/指定商品: 第25類 「履物」

権利者:LLOYD Shoes GmbH

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位置商標の出願方法

 

さて、日本での位置商標の出願方法は、以下の通りです。

まず、願書の【商標登録を受けようとする商標】欄に、一又は異なる二以上の図又は写真により、商標登録を受けようとする商標に係る標章を実線で描き、その他の部分を破線で描く等により、標章及びそれを付する位置を特定するように記載します。

商標記載欄には、商標登録を受けようとする商標に係る標章 及び それを付する位置を特定するための線、点その他のものを記載することができます。

 

記載例

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(特許庁Webサイトより引用)

 

そして、商標記載欄の下には、【位置商標】と記載します。

【商標の詳細な説明】の欄には、位置商標を構成する標章(文字、図形等)の説明と、この標章を付する商品等における位置(部位の名称等)の具体的かつ明確な説明を記載します。

商標記載欄に、商標登録を受けようとする商標に係る標章 及び それを付する位置を特定するための線や点などを記載した場合は、その記載により、どのように標章及びそれを付する位置が特定されるのかも記載します。

 

 

位置商標の独自性

 

位置商標には、一般的に、それ自体では識別力を有しないような標章が、商品の一定の位置に付されることで、識別力を発揮するものが多いものといえます。

すなわち、位置商標は、その標章の付され方(位置)に特徴があり、他の商標とは性格を異にするものです。

その際立った特徴により、位置商標の出所表示機能は、他の商標と比べ、非常に強く発揮されることから、位置商標を取得すれば、非常に強力な顧客吸引力を有するものといえます。 

 

弊所では、このような新しいタイプの商標の出願も承っております。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

 

【新しいタイプの商標】 音商標

特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、これまで商標として登録できなかった新しいタイプの商標が、登録できるようになりました。

新しいタイプの商標は、色彩のみからなる商標、動き商標、ホログラム商標、音商標、位置商標の5つです。

本日は、その中から「音商標」について、ご説明いたします。

 

音商標とは

 

音商標とは、音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標のことをいいます。

例として、CMなどで使用されるサウンドロゴ、パソコンの起動音などが該当します。

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音商標の出願方法

 

音商標の出願方法は、以下の通りです。

まず、願書の【商標登録を受けようとする商標】の欄に、文字や五線譜等により記載します。

 

文字により記載する場合(例)

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(特許庁Webサイトより引用)

 

五線譜により記載する場合(例)

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(特許庁Webサイトより引用)

 

そして、その下に【音商標】である旨を記載します(【商標の詳細な説明】の欄は任意)。

最後に、【提出物件の目録】の欄を設け、【物件名】に「商標法第5条第4項の物件」と記載し、その音をMP3形式で記録したCD-RまたはDVD-Rを添付します。

 

 

音商標の重要性

 

本記事執筆時現在、「音商標」にチェックを入れて検索すると、278件ヒットします。

今年始まったばかりの新しい制度であるにもかかわらず、既に多くの企業が音商標を出願していることがわかります。

音商標は、CMなどで使用されると、その企業を表す音として、宣伝広告機能を発揮し、消費者の注目を集めやすく、企業もその重要性を認識しているものと考えられます。

今後、このような企業を代表する「音」は、著作権だけでなく、登録制で公報も発行される強い権利である、商標権で保護することが推奨されます。

サウンドロゴは、人気が出れば着メロなどにも展開できますし、益々その重要性は高まっていくことでしょう。

 

弊所では、このような新しいタイプの商標の出願も承っております。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

【新しいタイプの商標】 ホログラム商標

特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、これまで商標として登録できなかった新しいタイプの商標が、登録できるようになりました。

新しいタイプの商標は、色彩のみからなる商標、動き商標、ホログラム商標、音商標、位置商標の5つです。

本日は、その中から「動き商標」について、ご説明いたします。

 

ホログラム商標とは

 

「ホログラム商標」とは、文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標のことをいいます。

 

 

願書の記載方法

 

ホログラム商標について商標登録を受けようとする場合は、「商標登録を受けようとする商標」の欄に、一又は異なる二以上の図又は写真により、ホログラフィーその他の方法による変化の前後の状態が特定されるように記載します。

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(見る角度によって異なる文字等が見える例)

特許庁Webページより引用

 

その際、その商標の変化の前後の状態を特定するための指示線、符号又は文字を記載でき、その指示線、符号又は文字の記載により、どのように商標の変化の前後の状態が特定されるかを【商標の詳細な説明】の欄に記載するのは、動き商標の場合 と同様です。

 

 

ホログラム商標出願時の注意点

 

見る角度により別の表示面が見える場合で、ホログラム商標が複数の表示面から構成されるときは、それぞれの表示面に表された文字や図形等の標章から生ずる外観、称呼及び観念をもとに類否判断されます(商標審査基準 商標法第4条第1項第11号)。

したがって、出願前には、各表示面に基づいて調査を行うことが必要です。

 

弊所では、このような新しいタイプの商標の出願も承っております。

ぜひ、お気軽にご相談ください。

 

 

【新しいタイプの商標】 動き商標

特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、これまで商標として登録できなかった新しいタイプの商標が、登録できるようになりました。

新しいタイプの商標は、色彩のみからなる商標、動き商標、ホログラム商標、音商標、位置商標の5つです。

本日は、その中から「動き商標」について、ご説明いたします。

 

 

動き商標とは

 

動き商標とは、文字や図形などが時間の経過に伴って変化する商標のことをいいます。

例として、テレビやコンピューター画面に映し出される変化する文字や図形などがあげられます。

 

 

願書の記載方法

 

動き商標には、大きくわけて2パターンあります。

 

1つは標章(文字や図形など)自体は変化せずに、位置が移動するもの、

もう1つは標章そのものが変化するようなものです。

 

いずれの場合も、商標記載欄の下に、【動き商標】の欄を設け、その下に【商標の詳細な説明】の欄を設けて、動き商標を構成する標章の説明と、時間経過に伴う標章の変化の状態(変化の順番、全体の所要時間等)について、具体的かつ明確な説明を記載しなければなりません。

また、商標記載欄に商標の変化の状態を特定するための指示線、符号又は文字を記載した
場合は、その記載によりどのように商標の変化が特定されるのかを記載するのも同じです。

 

異なるのは、商標登録を受けようとする商標の図の枚数です。

標章自体は変化せず、位置が移動する場合は1つの図で、

標章そのものが変化するような場合は複数の図で記載します。

 

(1)1つの図によって記載する場合

【商標登録をうけようとする商標】の欄に、1つの図を記載し、その標章がどのような動きをするのか指示線などを書き込みます。

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特許庁Webページより引用

 

(2)複数の図によって記載する場合

【商標登録をうけようとする商標】の欄に、複数の図を記載し、時間の経過に伴う標章の変化の状態をパラパラ漫画のように示します。

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特許庁Webページより引用

 

 

動き商標の積極的出願のススメ

 

今までは、文字商標や図形商標、立体商標しか認められていませんでしたが、

今般の改正により、動的な商標である、動き商標が認められるようになりました。

 

海外では既に認められていたところもあり、日本もこれに追いついた形となります。

 

 

CMの始まりや終わりに、会社名やロゴが動くようなものを見ると、すぐにどこの商品やサービスかがわかりますし、商標として、立派な宣伝広告機能を果たしています。

このような標章は、ぜひ積極的に「動き商標」として出願し、その商標権を会社のひとつの財産としてほしいと思います。

 

 

【新しいタイプの商標】 色彩のみからなる商標

特許法等の一部を改正する法律(平成26年5月14日法律第36号)により、商標法が改正され、これまで商標として登録できなかった新しいタイプの商標が、登録できるようになりました。

新しいタイプの商標は、色彩のみからなる商標、動き商標、ホログラム商標、音商標、位置商標の5つです。

本日は、その中から「色彩のみからなる商標」について、ご説明いたします。

 

改正の時代背景

 

そもそも、色彩のみからなる商標は、商標としての基本的機能である「識別力」を有していないことが多く、商標として認められていませんでした。

「識別力」とは、自分と他人の商品やサービスを識別するための標識として機能する力をいいます。

 

色は、基本的にどのような商品やサービスにも使用されるものであり、「色」だけで、誰の商品やサービスであるかを識別できることは少なかったのです。

したがって、日本の商標法においては、「色」は、文字や図形などと組み合わせて使用される場合に限り、「商標」として認められていました。

 

しかしながら、「色彩のみからなる商標」であっても、長年、継続使用をしていれば、識別力を獲得することがあります。

また、諸外国では、既に「色彩のみからなる商標」を保護対象として認めているところも多く、日本における保護ニーズも高まっていました。

このような背景を踏まえ、日本でも、「色彩のみからなる商標」が保護対象として認められました。

 

 

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登録のハードルの高さ

 

それでは、「色彩のみからなる商標」の登録の難易度はどの程度なのでしょうか。

商標審査官が審査において使用する基準として、「商標審査基準」があります。

これには、次のような「色彩のみからなる商標」は、商標法第3条第1項第3号に該当する(商標登録できない)旨の記載があります。

 

(商標審査基準より抜粋)

『(1) 商品が通常有する色彩

 (イ) 商品の性質上、自然発生的な色彩: (例) 商品「木炭」について、「黒色」

 (ロ) 商品の機能を確保するために通常使用される又は不可欠な色彩: (例) 商品「自動車用タイヤ」について、「黒色」

 (ハ) その市場において商品の魅力の向上に通常使用される色彩: (例) 商品「携帯電話機」について、「シルバー」

 (ニ) その市場において商品に通常使用されてはいないが、使用され得る色彩: (例) 商品「冷蔵庫」について、「黄色」

 (ホ) 色模様や背景色として使用され得る色彩: (例) 商品「コップ」について、「縦のストライプからなる黄色、緑色、赤色」』

 

これを見ると、特に(ニ)や(ホ)の要件が厳しく、通常使用されていなくても、使用され得る色や、模様や背景色として使用され得るのもアウト、ということになります。

 

ここまでハードルが高いのは、商標権が排他独占的な権利であって、「色彩のみからなる商標」の商標権が、その色彩を一私人に独占させるという、非常に強い権利である、ということが理由です。

 

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どうすれば登録できるのか

 

ここまで厳しいと、「色彩のみからなる商標」は、一体どうすれば登録できるのか、という疑問がわくと思います。

それを解決するのが、商標法第3条第2項です。

これは、たとえ、前記第3条第1項第3号に該当するとしても、需要者の間で、その商標が、特定の者の出所表示として全国的に認識されている場合には、特別に登録を認める、という規定です。 

 

したがって、「色彩のみからなる商標」として、登録されやすくなるポイントは、

(1)その色が、特定の商品やサービスに使用されていること、

(2)その色を、長年、継続使用してきたこと

(3)その色が、特定の者の出所表示として、全国的に周知(=著名)となっていること

の3つといえそうです。

 

色彩のみからなる商標の出願状況

 

このように、「色彩のみからなる商標」の登録のハードルは、かなり高いといえます。

しかし、実際には、その色を見ただけで、どこの商品やサービスのものであるか認識できるものというのは、意外に多いと思います。

 

本記事の執筆時現在、「色彩のみからなる商標」を、特許庁のデータベースで検索してみると、396件ヒットしました。

そして、その中には、その色が、どこの商品やサービスの出所なのか、認識できそうなものも、けっこうあります。

例えば、以下の「色彩のみからなる商標」の出願人は、どこでしょうか。

(1)出願番号:商願2015-29914

   指定商品:文房具類

 

 

(2)出願番号:商願2015-29957

   指定商品:ぎょうざ 等

 

 

(3)出願番号:商願2015-30037

   指定役務:衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供

 

 

 

(4)出願番号:商願2015-45125

   指定役務:クレジットカード利用者に代わってする支払代金の清算

 

 

 

(5)出願番号:商願2015-52594

   指定商品:コーヒー 等

 

 

 

 

正解は、こちらです。

 

 

正解:

(1)株式会社トンボ鉛筆

(2)株式会社王将フードサービス

(3)株式会社セブン-イレブン・ジャパン

(4)株式会社ジェーシービー

(5)ダイドードリンコ株式会社

 

どうでしょうか。

意外と、分かった方もいらっしゃるのではないかと思います。

これが全国的に認識されていれば、登録される可能性が高いということです。

実務では、この著名性の証明は、使用開始時期や期間、広告宣伝回数などを考慮した上で、当該広告物や写真、インターネット上の記事などを提出して行います。

 

「色彩のみからなる商標」の活用

 

このように、長年、特定の商品やサービスに使用され続けてきた結果、色彩のみからなる商標であったとしても、識別力を有すると思われるものが存在します。

そして、今般の法改正により、それが商標の保護対象として認められたということは、色彩のみからなる商標にも、需要者の業務上の信用が蓄積され得ると判断され、そこに保護すべき価値が認められた、ということでもあります。

読者の皆さまの中にも、もし長年、特定の商品やサービスに継続して使用している色があったら、それを知的財産として保護・活用するためにも、ぜひ、「色彩のみからなる商標」の出願を検討してみてはいかがでしょうか。